「マリファナ(大麻)で不妊症に!?」

マリファナ(大麻)が精子に悪影響をおよぼすことは良く知られており、男性不妊外来で精液所見が不良な男性をみたら、欧米では必ずマリファナをやっていないか聞かなければなりません。
ところが,マサチューセッツ総合病院(ハーバード大学系列の非常に有名な病院です)から、マリファナ(大麻)を使用したことのある男性のほうが,一度も吸ったことがない男性より精子数が多く,精子を作る働きをコントロールしているFSHというホルモンの値も低い(つまり精子を作る働きが良い)という衝撃のデータが報告されました(Marijuana smoking and markers of testicular function among men from a fertility centre. Human Reproduction 2019; 34: 715-723)。
男性不妊外来を受診した男性のうちで、薬物使用について回答してくれた662人についてマリファナ使用と精液所見、性ホルモンの値、精子のDNA損傷率を比較しています。

662人のうち44%が過去にマリファナを吸ったことがあると答えており、さらに11%は今も使用していると回答しました。

使用経験がある男性の精子濃度は6,270万/mlであるのに対し、一度もマリファナを吸ったことがない男性では4,540万/mlで、マリファナ使用者が明らかに精子の数が多いのですが、精子の濃度と動きがWHO(世界保健機関)の最低基準値を下回っていた男性もマリファナ使用グループでは5%しかいませんでしたが、マリファナを吸ったことのないグループでは12%と、精子の状態が非常に悪い男性がマリファナ使用歴がないグループに多いという結果です。

さらには血中のFSHの値もマリファナを吸ったことがある男性のほうが低く,精子を作る機能が良いことが推測されました。

精子のDNA損傷やFSH以外の性ホルモンには差はありません。
これまでマリファナは精子を作る働きを悪くし、男性ホルモン(テストステロン)を低下させると報告されており、動物実験でも証明されていたのに,正反対の結果が出ています。

精子のDNA損傷やFSH以外の性ホルモンには差はありません。
これまでマリファナは精子を作る働きを悪くし、男性ホルモン(テストステロン)を低下させると報告されており、動物実験でも証明されていたのに,正反対の結果が出ています。

予想外の結果ですので、なんでそんなことになったのか色々と理由を推測していますが、マリファナの使用が合法ではない状況での自己申告によるデータで,不妊施設に限って行われた調査なので、さらに研究を進めなければ結論は出せないということのようです。
現在は米国の一部の州でマリファナが合法化されていますが、日本では非合法なので興味があっても絶対使わないでください。

男性でも不妊治療したい方はまずは専門のクリニックに相談する事をお薦めします

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です